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「選んではいけない」-【第三回】見えない"インフラ"のからくり

実態が見えにくいクラウド事業者のサービスレベルを客観的に判断するためには、インフラに注目すべき。ただし一般には気付きにくいポイントがいくつか存在する。シリーズ第三回となる今回は、インフラに関連したクラウド選びの勘所を紹介していく。

「選んではいけない」- 【第二回】 "ライセンス"に潜む落とし穴
「選んではいけない」- 【第一回】クラウド型グループウェアの勘所


「クラウドサービス」は、利用するお客様、及び事業者双方にメリットがあるものとして多くの企業で採用が検討され、これからも幅広く活用が進んでいくことでしょう。しかし、クラウド自体の実態が見えにくいため、優良なクラウドサービスを選択するためには、これまでと違った異なる視点を持つ必要があります。

それがこれまで見てきた「自動化技術」や「ライセンスまわり」のポイントです。クラウドは拡張性と柔軟性に優れたサービスモデルですので、ぜひ正しいクラウドサービスが選択できる目を養っていただければと思います。

さて、第三回目となる今回は、クラウドの中でも非常に気になる"インフラ"に関する"からくり"について。

クラウドコンピューティングは「所有から利用へ」と企業のコンピューティングモデルを激変させるものですが、事業者のサービスレベルを客観的に判断するためには、やはりインフラに注目すべきです。ただし、こちらも気付きにくいポイントがいくつか存在します。そこで、インフラに関連したクラウド選びの勘所を詳しく見ていきます。


■優良なクラウドサービスの運営には体力が必要

zannen_5世界的に有名なクラウドベンダーであるA社は、この10年間で約700億円をインフラに投資したと言われています。我々サイボウズが提供している「cybozu.com」もリリースまでに10億円近い投資を行っています。

ただ正直に言えば、クラウドサービスというのは本当に"ピンキリ"。初期投資額を少なくしようと思えばそういった手段を取ることもできてしまいます。

例えば他社のインフラを借りてきて、その上に自社サービスを展開すれば、初期投資額をぐっと抑えることができるのです。ただし、これでは一番の大元を他社に依存してしまうことになり、結局トラブル時はより多くの手間をかけて切り分けをしなければならなくなるのです。

一般的にクラウドサービスと言ってすぐ頭に浮かぶような企業は、他社に依存したインフラ作りは行っていません。自前でインフラから作り上げ、そしてその上でサービスを展開します。つまり、自社サービス専用にインフラを作り上げるため、最適な環境でお客様にサービスを届けることが出来るのです。

だからこそ「cybozu.com」は自社で投資して、インフラから一貫して提供出来るクラウドを作りあげるチャレンジを行ったのです。いま「cybozu.com」は、インフラから作りあげた結果、品質の高い、そしてコストを抑えたサービスが提供できるようになりました。

我々だけでなく、おそらく自社でインフラ開発を行った企業は相当な苦労を味わったはずです。それでも、もう一度最初からサービスを提供し直すとしても、結局は同じように自社で開発することを選択するでしょう。それだけ自社でインフラを見ることが出来るメリットは大きいのです。
クラウドサービスを選択する上では、継続して投資出来る企業であるか、現状はスタートしたばかりでも大きくサービスを伸ばすことが出来るかは、大切なポイントになるでしょう。


■容量がMB単位、追加容量が高い

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いまどき容量がMB単位で提供されているクラウドサービスがあります。我々からすると非常に不思議なサービスであると言わざるを得ません。

サイボウズも「cybozu.com」というクラウドサービスを提供する事業者ですから、ハードディスクがいまどれぐらいの価格で仕入れることができるのか、さらにサービス提供するに当たってのどういうノウハウが必要なのかということは理解しています。

しかし、どう考えても"MB単位"で提供しなければならない理由が見当たりません。

MB単位で提供している場合は、定価を安く抑えるために追加容量を極端に高い価格で提供しているか、設計自体が古くまだまだハードディスクが高い時代の価格設定がそのまま残っているか、あるいはもう新規顧客が獲得できずに既存顧客からの追加容量の注文だけで利益を出しているサービスなのか、など何かしらを疑うべきです。

ご参考までに、グループウェアを運営する際に最低現必要な容量は、Eメールをグループウェアで利用しない環境の場合、3年間で1人あたり300MB程度、Eメールをグループウェアで利用する環境においては3年間で1人1GB程度というのが目安になります。利用方法によって大きく異なるため、すべてのお客様に当てはまるわけではありませんが、これまでに我々が見てきたお客様の環境の平均は大体その範囲です。

優良なクラウドサービスは標準でもGB単位が当たり前、と覚えておいて間違いはないでしょう。


■データが分散されていない

データ保全を行うためのバックアップは欠かせないものですが、どこまで行えば適切なのか、は非常に重要な要素です。

お金をかければかけるほど立派なバックアップシステムは構築できます。しかしその代償として、提供金額の上昇に繋がります。大切なのは、

  1. まず自社において最低限必要なバックアップとは何かを定義する
  2. それが判断できるだけの情報が公開されている事業者かを確認する

ことだと言えます。

最低現必要なバックアップを紹介する前に、そもそもバックアップが必要になるケースとはどんな状況なのでしょうか。
zannen_7一般的にクラウドサービスとして提供している環境では、ハードディスクはRAIDで管理されているでしょう。だからこそ、軽いハードディスクの故障であれば、自動的に修復がなされます。さらに稼働している環境が何かしらの原因で止まったとしても、待機系(運用のバックアップ)に切り替わり、サービスは継続して運営され続けます。

バックアップが必要な状況とは、この稼働しているサーバと待機系とが同時に止まってしまうような状況です(データのバックアップが必要)。RAIDと待機系という言葉を使いましたが、これらは優良な事業者のサービスであれば当たり前のように備えている環境ですが、そうではないサービスもあるため十分注意が必要なのです。

バックアップは本来、稼働系、待機系とは別にデータを取得しておくものです。このバックアップデータをさらに遠隔地に保管するのがディザスタリカバリ(disaster recovery)と呼ばれる体制です。東日本に本番環境があるのであれば西日本にも保管したり、もっと高級なサービスであれば日本とシンガポールといった具合に世界レベルでの分散がなされていたりします。

環境の見極めには多少の知識が要求されますが、簡単にまとめると、以下の通りです。

  • 稼働している環境にRAIDが組まれているか。または説明がされているか?
  • 本番、待機、バックアップ、遠隔地バックアップの要素が説明されているか?

このあたりは、現在お付き合いのあるIT販社に相談するのもひとつの手だと思います。

また安全性の観点とは少し違ってきますが、バックアップ時間も重要な要素になってきます。ただし、こちらは優良なサービスを見極めるポイントは非常に簡単です。無停止か否かの1点だけを見れば問題ありません。改めて説明の必要はないかもしれませんが、バックアップは無停止であることが優れているサービスの証です。

 


 

「選んではいけないクラウド型グループウェアの勘所」と題して、三回に渡って優良なクラウドサービスの見極め方を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
zannen_eパッケージ版とは見るべきポイントが変わっていて驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。ただ、当然グループウェア自体の質はこれまでと変わらず選択する必要があります。自社が課題にしていることを解決するために役に立つ機能が搭載されているか、などの判断はパッケージでもクラウドでも変わりありません。

企業でのクラウド利用は、まだようやく定着が始まった段階です。提供事業者も残念ながら玉石混淆状態であることは否めません。ここ10年以内には淘汰が進むと思われますが、しばらくは担当者自身が選定に責任を持つ必要がある状態が続くでしょう。

ただ、選択することばかりに意識を集中し過ぎると、検討時間だけがいたずらに長引き、競争力強化や業務効率化といった本来の目的を達成できなくなってしまいます。短い検討期間でも最適なサービスが選択できるよう、まずはこの「選んではいけないクラウド型グループウェア」がお役に立つことを切に願っています。

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